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過去の講演・活動

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第1回深セン和僑会特別企画「現場で学ぶ和僑会」工場見学ツアー(1/2ページ)

【開催日時】 2008年4月24日(木) 見学会13:00〜17:00  懇親会18:00〜21:30
【訪問工場】 新利実業有限公司(SOLID)
【参加者達】 クオリティマインドの林氏(ホスト役)と一般参加者の計19名。
【当日の大まかな流れ】
  1. 原田総経理の自己紹介
  2. SOLID会社紹介
  3. 工場見学:受付→総務→製造ライン→EMS設備→梱包ライン→倉庫。
  4. 中国人若手起業家テイ(丁)さんの紹介
  5. 事前に提出済みの参加者質問に対する回答
  6. 懇親会での質疑応答
議  事

講師紹介

新利実業有限公司(SOLID) 原田則夫 総経理

  • 2001年の日経ビジネス特集記事にて、フナイ電機会長が、原田様が総経理をしておられた工場を絶賛したと紹介される。
  • 1968年SONY鞄社、研究部門で音響製品の設計に従事した後、韓国/香港/台湾/中国のSONY関連会社で開発指導や会社運営に従事。
  • 工場設立や工場再建などにも責任者として数多く携わっている。
  • 2004年SONY椛゙社後明治大学経営学部特別招聘教授を現在までNPOで続けており、同時に年4回程度の学生・院生のインターシップ受入れや日中各企業に対し異文化経営実践学の受入れを行っている。
  • 海外勤務30年中中国駐在15年、現在1人の日本人で従業員3000名の
  • 会社を運営している。

林様のプロフィール

海外(中国を中心に、台湾,マレーシア,インドネシア,シンガポール,
メキシコ)での指導経験を活かし、主に製造業の製造現場にて品質改善・生産性改善指導に携わっている。日本のモノ造りの心、品質第一の心を中国にて次世代に伝えるのを使命として活動中。

2007年3月より「品質改善・経営革新セミナー」を毎月一テーマシンセンと東莞の二会場で定例開催中。

今年は「生産革新研究会」を立ち上げ、一業種一社限定会員による工程改善実践勉強会を開始する予定。

【略歴】
金沢大学大学院電子工学専攻卒業
横河電機株式会社に24年間勤務

  • PA/FAシステム製品・コンピュータ周辺装置の開発設計
  • 計測測定機器・電源装置・磁気応用部品の品質保証
    2005年独立し主に中国華南地区にて品質改善・経営革新指導

●抑えられない期待
当日11時半、新時代ホテルのロビーに集合。
今回は見学会の受入先に敬意を表す意味でドレスコードを設定。参加者の皆様、お願いしたとおり会社の制服orスーツで参上。

受入先が手配してくれたバスは12:10に到着予定。時間通り到着するかどうか、事務局側の心配は杞憂に終わった。1分の狂いもなくバスが登場! バスの運転手に聞いたところ会社の指示で早めに到着、時間ギリギリまで近くで待機していたとのこと。 しょっぱなから期待を裏切るこの感動! 一同、これから始まる感動夢工場の演出に益々期待を膨らませた。

バスでの移動時間40分を利用して、参加者同士、自己紹介タイム!
皆の発言、目の輝き、メンバー全員やる気に満ちた人達ばかりだ!!

まさに少数精鋭のメンバー達。
これから皆、何を見て、何に感動し、何が変わっていくのだろう?!

我々事務局の期待も膨らむ一方だ!!!

●カウンターパンチ
SOLID到着。 先ず2階受付に通される。
ここは明るく綺麗なショールーム。ここでまずビックリしたこと。
それは部品の購入価格と実績までが惜しげもなく情報公開されていたこと!
そして訪問客の属性・実績などがあらゆる表やグラフを駆使して壁に張り出されていたこと!

予定時刻の13時5分前。本日の主役、原田総経理が登場!
とにかく“スゴイ人”だと聞いていたので、さぞかし「迫力ある風貌」と(勝手に)想像していたのだが。。。 実際お会いした原田様は小柄で温和そうな方。簡単な挨拶を済まし会議室に移動。

席に到着するやいなや、
まずは受付でうけた質問事項「写真撮影は大丈夫ですか?」に対する答え。

「SOLIDには隠す事は何も無い。写真撮影、大歓迎!」

一同ニンマリ。^^)
と同時に、「この会社、ハンパじゃなくスゴイかも・・・」
高まる期待と興奮に皆、緊張と喜びが混ざり合った複雑な表情をしていた。^^;

こうして感動劇場の幕は上がった。


●原田総経理の自己紹介
海外駐在暦35年。
もともとSONYの開発設計部門で電気設計をしていた。
32歳で自ら希望し製造部門に移った。皆が嫌がる製造部門。そこにチャンスを見出した。
製造部門を知りつくしたエンジニアこそ、「Management of Technology 」が実現できる!

SOLIDを初めて訪れたのは2001年。まさに売却される寸前だった。
従業員にも、オーナーにも、そしてSONYにも見放されていた工場だった。

「これこそダイヤの原石!」 
直観が働いた。

「6社再建してきた自分なら再建できる!」自信があった。
自分にしかできない仕事がある。見込みもある。皆が完全放棄した会社を甦らせれば感謝もされる。

引き受ける事にした。
この7社目の再生事業を人生最後の大仕事と捉えている。

今、総経理として会社の仕事はしていない。SOLIDの決まりごと。
実務の時間は部長:2時間/課長:4時間/係長:6時間。
残りの時間は将来の夢や目標に向けての勉強と自己投資に使うこと。


●事業紹介
職員は3000人。日本人は原田総経理1人。
制服のベストは2種類。1つは白色で管理職。もう1つは青色でワーカー。これは差別化ではなくメリハリをつける為。

原田総経理の考え方。
「20代は人に使われ、30代は人に任せてもらい、40代は人を使い、50代は人を教育し、60代は人に譲る」
キャリアプランと生き様をこの理念に沿って教えている。

連日、大手企業から訪問者がある。よってSOLIDは「企業大学」とも呼ばれている。
商品は、主に音響設備。仕向け地はアメリカ、中国、インドがメイン。日本向けはゼロ。1日90本のコンテナを世界に向けて出荷している。他社では決してマネ出来ない。技術の問題ではなく場所の問題。スペースがあるからこそ出来ること。

原田氏の着任直後、ドラスティックに生産品目を変えた。
当初はウォークマンやラジカセなどが中心だった。しかし「市場は縮小・淘汰」は容易に想像がついた。ホームシアター用の音響設備をメインにした。株主や社員を説得した。結果、皆に「天才」「神様」扱いされている。(笑)

原田氏着任前(2001年当時)の組織図を見せてもらった。
当時のTOPはアモイ出身の華僑。彼は「社員=使用人」という考え。昔の経営者、個人事業主の域を出られなかった。企業人として企業経営ができる資質がなかった。

「尊敬できない人の下で組織はゼッタイ機能しない!」
「危機感のもった人/会社でなくてはならない!」

そう考え、組織改革を行った。今まで複雑な構造だったものを可能な限りフラットでシンプルなものに変えた。

前の経営者が連れてきた血縁幹部を全て排除した。当然その反動で何度も訴えられた。でも原田氏も徹底応戦(控訴)。信念もお金も無い人達は粘り腰など全く無かった。原田氏はこうして、実績を積み重ね、信頼を勝ち得ていった。

信頼と尊敬は全く別物。尊敬には、実績と行動力が必要なのだ。
 

●経営方針
「プロ意識(1)を持ち、何事も自分の為と考え (2)、前向きに(3)仕事に挑む事」

  1. 給与の6倍以上の成果を挙げる事
  2. 決して会社の為に仕事はするな!自分の為じゃないと頑張れない、自分の事なら一生懸命やれるもの。
  3. 苦しい時こそ明るくなれ!

●マネージャーの心構え

  • 部下は見えても部下には見えない→コミュニケーションを取る際は自分の喜怒哀楽を明確に示せ!
  • 経験的手法を用いず独自性(=only one)を追え!
  • 目的目標を明確に!→理解していない(させていない)と、やっている意味・意義が分からない。
  • 社員の自己成長を願え!
  • マネージメント結果は感謝心と信頼関係に比例
  • リーダーは学歴で求めるな→素質は学歴では分からない


●情熱/仕組みで人は育つ
着任から2年間は全てリーダーシップをとってやった。今は何もやってない。「下に厚く、上には薄く」の給与/評価制度。給与の上限は1万元。関連企業にはどんどん社員を紹介している。訪問企業からのヘッドハンティングも大歓迎。優秀な人材から優先的に紹介させてもらっている。条件は、今、彼(女)らがもらっている給与の3倍の額を保証すること。紹介料は一切もらわない。人材が常に循環して、イイ人がさらに良いステージにチャレンジできる、そんな組織・体制となっている。


●SOLIDの自慢

【EMC設備】
専門の検査機関にしかない設備。普通の工場には置いてない。人も技術力も二流以下の工場だった。よって資本投資をすることにした。これがあればお客が呼べる。人を雇って教え込むのでは限界がある。目標・目的達成のためにはお金で買える資源はお金で買う。要は資本の投下をどこにどうやって行うか。これを考えるのが経営者の仕事。

【圧倒的な求人倍率】
他の会社の人から見たらモデルとなる会社ということで「企業大学」と呼ばれている。しかし社員にとっては意味合いが少し違う。将来、店や会社を興したい、というスタッフが大半。だからこそ、経営や管理のノウハウを惜しみなく与えることにした。結果、学びたい人・やる気のある人がたくさん来るようになった。その意味で「起業家大学」と呼ぶ人も少なくない。

【公開採決(人民裁判)制度】
スタッフの昇給・昇進を決めるベースとなるのは753項目の質問。彼らの資質を全方向で測るため45名の裁判官(あらゆる部門の幹部スタッフ)が質問を浴びせる。無記名投票で70%以上の支持率を獲得する必要がある。これに合格すればラインワーカーでも事務職スタッフになれる。


●人が集まる仕組みと仕掛け
現在の求人倍率は約10〜20倍。落選者は周囲の工場や関連企業へ優先的にまわしてあげてる。金をかけての宣伝・広告は一切しない。以下のような工夫をしてきただけ。

【ホームステイ】
連休などを使って原田氏自ら、国内旅行がてら地方にあるスタッフの家にホームステイをし、彼(女)らの生活/文化を体験。

【家庭報の発行】
社内報を作成したらスタッフの家族に送付。スタッフの父兄はこれを見て我が娘・息子の活躍を知り喜び、安心し、さらに応援してくれる。結果、スタッフのモチベーションも向上し、田舎から更に人材の応募が集まる・・・と、一挙両得以上の効果が得られる。

【成長機会】
幹部は2年以上、同じ仕事をしてはいけない。希望のない者は無条件で違うポジションに配属される。成長するための機会は溢れるほどに用意してある。専門職ですらオタクにしない。マルチな能力を身につけさせる。組織体制がそのように出来ている。文句を言う人、口だけで出来ない人は即刻解雇。

【STEP UP HOLIDAY】
在職1年以上の優秀な人材は総経理自らがしたためた推薦状を付けて他社に無料で紹介する。5ヶ月間、他の仕事を外で経験させることを公認する制度。自分の適性や目標を見極めさせる為。80%は期間終了後、戻ってくる。その結果2〜3倍がんばってくれるようになる。(笑)

【REFRESH HOLIDAY】
在職1年未満の人対象。旧正月を挟んだ閑散期2〜3ヶ月間休みをとり、地元に帰る。郷愁の念を満足させると同時に、田舎(にいる人達)の現状のレベルとこの会社(都市)で会得した自分の(文化的/知識的)レベルの格差を思い知らせる。それに気付いた人は必ず戻ってくるし、定着率も確実にUPする。

【新入社員による人材募集】
幹部ではなく、試用期間を終えたばかりの新入社員にリクルート活動をやらせる。わずか数カ月の間に体感した、この会社の強みや魅力を自分の言葉で語らせる。そうすることで彼(女)らの出身大学の後輩や元同僚など、友人知人を効果的に募集することが可能となる。

●改善プロジェクト(サークル)制度
着任当初、スタッフから様々な不満を訴えられた。「不満があるなら改善案を出して持ってこい」と指示した。慣れないながらも彼らは一生懸命考え、改善案を出してきた。「食堂のメシが不味い」のいう問題も、こうして改善された。

「不満があったら改善プロジェクトを設立せよ」これがひとつの企業文化として定着した。

今は29個のプロジェクトが存在している。
このプロジェクトにより社員の自立心・問題意識・行動力が養われる、という側面がある。

当然このプロジェクト活動は、本業の時間をやりくりして対応せねばならない。
何らかのプロジェクトに参加している人は業務処理・調整能力の高い人。この活動が自らの能力向上につながる、と肌感覚で分かっている人達。

逆に何のプロジェクトにも参加していない人は「無能な人」というレッテルを貼られる。能力のある人たちは居着き、能力のない人達は居辛い雰囲気になっている。それが良質な新陳代謝、様々な好循環を生みだしている。


●品質=人質
原田氏いわく「品質には、興味が無い」
品質向上のためには人質向上。人の素養・資質を向上させるための教育が何より大事。そのためには人の心の動きをよく読み理解すること。会社として上司として、どのように振る舞い、どのような組織・体制を用意し、教育を与えるべきか?その結果、彼(女)らの心が動くのか? その答えを仕組み仕掛けに落とし込むこと。様々な文化的・教育的背景をもち、思考も習慣もばらばらの人達を一つにまとめ上げるには心の動きに無関心であってはならない。会社・上司がこの点に配慮して仕事をすれば、自ずと製品の品質は良くなっていく。

●主体的な行動を引き出す考え方とアクション

  • 『率先模範』〜中国では特に重要。上司が出来ないのに部下に「ヤレ」と命令しても部下は動かないし動けない。上司がやって・みせて・やらせてみる。この3ステップが非常に重要。
  • 社内でパソコン教室を開講している。講師は全てボランティア。「誰かに教えてもらった事は誰かに教えることが会社への貢献」と定義。それを確実に実行させている。
  • SOLIDにあるたくさんのマニュアル。原田氏自身は着任当初に1冊、管理者向けのマニュアルを作ったのみ。後は、全て従業員が自主的に作ったもの。それらのマニュアルは全て誰でもいつでも閲覧できる。数年前、当時の財務部長がSOLIDの文化を伝承するため、PPTで膨大な資料を作ってくれた。資料の名前は「卓越之路」。彼はもともと一般ワーカー。とにかく一生懸命がんばった。働いた。当時彼の給与は7500元。彼はその後、会社が推薦した先の上海の会社で総経理を務めている。給与は25000元となった。
  • SOLIDに来るベンダーは、先ず受付の女の子3人(素人)が対応。購買や技術など関連部門と取り次ぐかお引き取り願うかは彼女らの判断に任せている。つまり、彼女らに来社の目的などをうまく伝え、説得させないと交渉のテーブルにつけない、という仕組み。
  • ちなみに彼女達の月給は700元。毎月200社近くのベンダーが売り込みに来る。実際、彼女達のフィルターを通り抜けることができるのは約70社。彼女らは素人だからこそ、より慎重になって判断する。彼女らがいるおかげで、各部署の高給取り(プロ)達の作業効率が上がる。
  • 各ベンダーから採用した部品の価格は、全てOPENにし、受付のショールームに飾ってある。

  • 喫茶コーナーのお茶出しも彼女達が担当。訪問客による喫茶コーナーでの売上げも全て彼女達が管理。毎月の仕入れから、営業、マーケティング、宣伝広告活動まで、すべて彼女たちの仕事。これらの活動を全て“視える化”し、彼女らのモチベーションUP、能力向上につなげている。
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